あの日、見られなかったロケットを、もう一度。

地下のガレージ。

男は煙草を吸いながら、一人で自転車を組み立てる。

彼はきっと、ずっと、ここから出られない。

あの日、男はもっと小さな自転車に乗って、あの子と一緒にロケットを見に行くはずだった。

あの日たどり着けなかった種子島で、兄の作ったロケットが、発射の時を待っていた。

＊TPAMショーケース 参加作品

 

大人になれない、大人のためのうさぎストライプ

大人になって、嘘をつくのが下手になりました。

今回の「大人になれない大人のためのうさぎストライプ」は、『セブンスター』再演と、新作『わかば』です。『セブンスターは真っ直ぐな道を、『わかば』は曲がった道を、たまに見失ったりしながら進んでいく、みたいな作品になるはずです。

多分それは昔の方が、真っ直ぐに嘘をついていたからなんだろうなあと思います。

子どもの頃は、嘘を嘘だと思わずに、妄想の話ばかりしていました。それが嘘だと気付いたころから、段々と嘘をつけなくなりました。

すっかり大人になってしまいましたが、それでもまだ、自分の嘘を信じて遊んでみたいので、演劇をつくったりしています。

大人になれない大人が贈る、大人のための、うさぎストライプ。

うさぎストライプ　大池容子